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UpDate:2010-2-22
[不定期コラム] ウェブマスターの憂鬱
第4回:中小企業の管理部門に所属せよ
ウェブマスターに任命されやすい人の条件2は、全体を見通せる部署にいること、です。全体を見通せる部署にいる、と書くと中々カッコいいかもしれませんが、要は管理部門に属している、ということです。
そして、条件の3番目は中小企業であること、です。
ウェブマスターに任命されるというと聞こえもいいですし、前向きな響きに聞こえるかもしれませんが、ウェブサイトをもっていないけど外注するお金もない中小企業は、社内でやらざるを得ない、ということです。
こういった企業の場合、わけの分からないものをやる人はまずいません。みんな嫌がります。
このような中小企業では、上の命令であっても拒否できてしまったり、なんとなく放って置いても文句を言われないという風土があるものです。
上に行けば上に行くほど年齢が高くなり、コンピュータ関係の話は疎くなっていくので、なるべく避ける傾向にあります。
なまじわからないものだから、その話をわざわざ振るつもりもないし、「あれどうした」と気まぐれで聞いてみても、「とりあえずまだ大丈夫じゃないですか」なんて返答をされれば、「そうだな」と納得してしまったりするものなのです。
そのときに、一人でもコンピュータ系に明るい部長クラスの人間がいると、その人が中心となって話を進めていくことになります。
しかし、そういう人であっても、最後までやるつもりはありません。ある程度は外注などで道筋をつけたら、後は他の人に振ってしまおうと考えているのです。
そういうときに白羽の矢が立つのは、管理部門にいる若手、ということになります。
まず、若手というのは、上の人間に言われたことを断り辛いという心理的な弱点があります。別の部門の部長から新規の仕事を振られた場合、まずは部門長に掛け合うのが筋なのですが、中小企業ではそんなことはお構いなしです。
また、管理部門に所属しているというのもポイントです。いくら若手であっても、営業の人間にウェブサイトをつくれとはいえません。
そもそもの業務とはかけ離れているし、その上長が許さないでしょう。
かといって、こういう会社には広報や企画といった適任と思われるような部署はありません。
そういうときに、広報の仕事もなんとなくやっている管理部門にお鉢が回ってくるのです。
わたしは、当時管理部門に配属されていました。
96~97年当時は、会社のほぼ全員がコンピュータのことをよく理解していなかったし、ましてや広告媒体としてのウェブサイトの存在などまったく必要性を感じていない状況でした。
しかし、そんな状況であっても、会社にはわたし以外にも数名のコンピュータに精通した人がおり(といっても、この会社内でということなので、そのスキルは低いものです)、そういった人たちはインターネットの影響に少なからず興味を持っていました。
1999年になると、競合他社が次々とウェブサイトを立ち上げるようになりました。もちろんたいした内容は載っていないのですが、それでも、「サイトがある」というのは何かしら「やる気がある」というアピールになるため、ないよりはあった方がいいに決まっている、という考えから、彼らはウェブサイトがないことに脅威を感じ始めました。
そして、「これからはインターネットがくる」と考え、「うちの会社でもウェブサイトを開設しなければまずい」と画策し始めたのです。
彼らはまず、会社中からウェブサイトを立ち上げるためのコンテンツを集めだしました。しかし、どのようなサイトにするのかをろくに検討しないまま始めてしまったため、商品の紹介と会社案内という内容になりました。
集めた資料は、当時取引をしていた会社に頼んでHTML※1化してもらったようです。
この取引先の会社は、ちょうど新規にウェブデザイン事業を始めようと検討していたところで、わたしの勤める会社はそのクライアント第一号になったのです。
このとき、デザインを吟味せずに発注してしまったことは後で問題になるのですが、当時はとにかく急いで立ち上げたいという危機感とウェブデザインの外注先として何を検討すればいいのかわからない、という勉強不足も相まって、そのまま話は進められたようでした。
この頃は、わたしはまだウェブサイトの運営には関わっておらず、そのような話が進行しているということも知りませんでした。すべて水面下で動いていたのです。
- ※1: HTML化
- HyperText Markup Languageの略。文書の論理構造を記述するための言語として開発され、Webページを記述するために使われるようになった。タグと呼ばれる文字列でテキストを囲うことにより、そのテキストが何を意味しているのかを示す。HTMLで書かれたファイルは拡張子を.htmもしくは.htmlで保存する。HTMLファイルはWebブラウザによって読むことができる。